「平成の〇〇に令和がひとつ」とは? 間違い探しの仕組みとサントリーの使い方

卓袱台に食事が並び、白黒テレビ、ミシン、黒電話、ランドセルが置かれた昭和の居間の再現展示 ネットの話題
昭和の居間の再現展示(杉並区立郷土博物館)。写真:Asanagi(Wikimedia Commons)、CC0。上下をトリミングして縮小。サントリーの出題画像ではなく、昭和の暮らしの展示です
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このワダイ、3行で

  • 昭和や平成っぽい画像の中に令和のものが1つだけ混ざっていて、どれかを当てる遊びが、10月26日にはサントリーの公式アカウントでも使われました。
  • この型は、Xの要約ページを見ると8月末〜9月初めにはすでに広がっていて、サントリーの場合は答えが10月27日発売の復刻ビール『純生』という作りでした。
  • 昔のネットにも「正解を知っているか」を試す世代クイズはありましたが、こちらは知識ではなく「違和感を見つける」遊びという違いがあります。

「平成の商品の中に令和が1つ。どれでしょう?」という投稿を、最近Xで見かけた人もいるかもしれません。昭和や平成の景色や商品を並べた画像の中に、令和になってから生まれたものを1つだけ混ぜておき、見る人がそれを探して返信する、という遊びです。このページでは、この遊びの仕組み、広がった時期、サントリーの使い方、そして昔からあった似たクイズとの違いを整理します。2026年10月29日時点の内容です。

「令和がひとつ」はどんな遊び?

決まりはシンプルです。昭和や平成の景色(社員旅行の宴会、ファミレス、駅の改札など)や商品を並べた画像を出し、「この中に令和が1つ混ざっています」と書きます。画像を見た人が「これが令和では?」と探し、答え合わせを待つか、返信で答えを書きます。難易度を「エベレスト」のようなたとえで書いて、挑戦したくさせる投稿が、Xの要約ページには並んでいました。

混ぜるものは、Xの要約ページによると、カレンダーや電子機器などです。昭和や平成のものばかりの中に1つだけ時代が違うものがあると、見る人は違和感を頼りに探します。ふつうの間違い探しが「2枚の絵の違い」を探すのに対して、こちらは「1枚の中の、時代が違う1つ」を探します。

Xが自動で作る要約ページ(XのAI「Grok」が書くもので、間違いを含む場合があると注意書きがあります)には、この型は「AI生成の昭和や平成の日常風景に令和らしいアイテムを1つだけ巧妙に隠した画像」と説明されていました。写真ではなくAIで作った画像が使われることが多い、という見方です。ただし、10月の個々の投稿の画像までAI製かどうかは、このページでは見ていないので決めません。

いつごろから広がった? 8月末には型がありました

広がった時期は、思ったより早いようです。先ほどの要約ページは2026年8月31日に公開され、9月2日に更新されています。例として8月31日から9月2日付の投稿が並び、「平成の『すかいらーく』に『令和』が1つだけ隠れてるよ」という書き出しの投稿も例に挙がっていて、「AI画像が話題」とまとめられていました。この種のネタは10月下旬に急に生まれたのではなく、少なくとも8月末には型ができていて、10月にも使われていた、と見るのが自然です。最初に作った人がだれかは分かっていません。

分かっている日付を並べます。

日付 できごと 出どころ
2026年8月31日〜9月2日 Xの要約ページが8月31日に公開され、型の投稿が例として並ぶ(9月2日更新) Xの要約ページ
2026年9月1日 サントリーが『純生』の復刻を発表。10月27日から数量限定で発売 サントリーのニュースリリース
2026年10月26日 サントリー公式Xが「平成の商品の中に令和が1つ」と投稿 サントリー公式X
2026年10月27日 サントリー公式Xが「正解は…『純生』でした」と投稿。復刻の発売日 サントリー公式X

サントリーはこの型をどう使った?

10月26日、サントリーの公式Xが、平成の商品の画像の中に令和が1つ混ざっているとして、「どの商品かわかりますか?」と投稿しました。翌27日には、答えの投稿が出ています。

『純生』は、1967年に出たサントリー初の生ビールです。それを現代の技術で復刻した「サントリー生ビール〈純生〉」が、2026年10月27日から全国で数量限定で売り出されました(サントリーのニュースリリース)。つまり、正解の「令和が1つ」は、昔の商品を今になって出し直した新発売品だった、という作りです。出題の投稿が発売の前日、答えの投稿が発売の当日でした。

答えの投稿は、「楽しみな人は『🍺』でコメントしてね」と、返信も呼びかけています。出題、答え合わせ、返信のお願いまでが、1つの流れで商品の告知になっています。

企業が使いやすい形に見えるのはなぜ?

サントリーは、この型を選んだ理由を説明していません。ここからは、2つの投稿から読み取れる範囲での見方です。

1つは、答えを商品の名前にできる点です。「どれが令和?」と聞けば、最後に出す答えがそのまま新商品の紹介になります。もう1つは、昔の商品や昔の景色が、企業の手元にすでにある点です。もともと過去の商品を復刻して出す動きは、このミームより前からありました。DIMEの2025年11月の記事は、ローソンが旧パッケージで商品を出した復刻フェアを、懐かしさと新しさを掛け合わせた企画として話題を呼んだ「エモ消費」の例として紹介しています(筆者の見方で、調査の数字はありません)。

背景には、平成が「レトロ」として語られるようになった流れもあります。アドタイの2025年4月の連載コラムは、Z世代の間で、80年代のシティポップの流行のあとに、平成も「レトロなもの」として受け止められ始めたと書いています。昔を知る人は懐かしみ、知らない人は新しいものとして見る、という両方の見え方が1枚の画像に同居できることは、こうした流れと合う、というのがこのページの見方です。

なお、サントリー以外の企業アカウントがどれだけ参加したのかは、今回の調べでは分かりませんでした。「企業が次々に乗った」とまでは、このページでは言いません。

昔の世代クイズとは何が違う?

「昔を知っているか」を試すクイズは、ネットにも前からあります。たとえば2023年1月、ホスティングサービスのCPIが、25周年の企画として「ネット老人会クイズ Web制作編」を公開しました。12問で、正解数に応じて「仙人級」「老人級」「初老級」などと判定が出ます。INTERNET Watchによると、1980年代後半からのネット界隈の出来事が出題されたそうです。

この「インターネット老人会」という呼び方は、BCN+Rが「インターネット黎明期(1990年代後半~2000年代前半)にネットに慣れ親しんでいた世代を指す呼称」と説明しています。

老人会のクイズと「令和がひとつ」を並べると、遊び方の違いがはっきりします。老人会のクイズは、出来事や言葉を知っているかという「知識」を問います。「令和がひとつ」は、年代の細かい知識を問うのではなく、昭和や平成の雰囲気に比べて浮いているものを探す「違和感」の遊びです。知識を問われる形ではなく、浮いているものを探す形なので、昔を知る人も知らない人も同じ1枚を前に参加しやすい遊びです。これも見方で、参加者がどう感じているかを調べた資料はありません。

広がり方の面でも、似た例があります。同じ2026年10月には、文字の順番を入れ替えても読める画像がXで広がりました。出どころをたどった『タイポグリセミア』の元ネタのページでは、同じ画像のネタが、1999年の投書までさかのぼれる形で繰り返し広がってきた様子を整理しています。また、企業が広告の中にネットの仕組みを取り込む流れは、ハッシュタグの歴史のページが、2007年から広告まで年表で追っています。

まだ分かっていないこと、これから見ておく点

  • この型を最初に作った人と、最初の日(要約ページの公開は8月31日。「令和が1つ」と書いた投稿で、見つけた中で一番早いのは9月1日の朝です)
  • サントリー以外の企業の公式アカウントが、どれくらい同じ型を使ったか
  • 10月の画像がAIで作られたものかどうか

企業がこの型を広告に使う例は、これから増えるかもしれません。次に別の企業が使ったら、答えが商品や復刻の告知になっているかに注目すると、サントリーと同じ使い方なのかが分かります。新しい例が見つかったら、このページに書き足します。

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