BUMP OF CHICKENとボカロPが同じ作品に——「超かぐや姫!」の音楽がJ-ROCKもボカロも同時にチャートを制した理由

コラム
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「ray」が3週連続1位、「ワールドイズマイン」が2位——「超かぐや姫!」がチャートを制した

2月25日付のBillboard JAPAN「Top User Generated Songs」チャートで、『超かぐや姫!』のEDテーマ「ray 超かぐや姫!Version」が3週連続で1位を獲得しました。さらに同作の挿入歌「ワールドイズマイン(かぐや&月見ヤチヨ ver.)」も2位に入り、ワンツーフィニッシュを達成。Spotifyバイラルチャート日本版でも、2月中旬時点でトップ30内に関連曲が9曲ランクインという状況です。

「Top User Generated Songs」はストリーミング・ダウンロード・動画視聴など複数指標を組み合わせたチャート。特定のコアファンだけでなく、幅広い層からの自発的な再生・拡散がなければ3週連続の首位は達成できません。

この「1位と2位」の正体を見ると、作品が何を狙っていたかが見えてきます。

1位「ray」の正体——BUMP OF CHICKENの名曲が「声優の声」で還ってきた

チャートを3週席巻した「ray 超かぐや姫!Version」の原曲は、BUMP OF CHICKENの「ray」(2014年)です。アレンジを担当したのはTAKU INOUE——星街すいせいとの「Midnight Grand Orchestra」プロデューサーとして知られる音楽プロデューサーで、元バンダイナムコスタジオで『アイドルマスター』『鉄拳』『リッジレーサー』シリーズのサウンドを手がけてきた人物。

ゲーム音楽・アニメ音楽のど真ん中を生きてきた彼が、邦楽ロックの名曲を「ライバーアニメのED」として鳴らし直す。それを歌うのがかぐや(cv.夏吉ゆうこ)と月見ヤチヨ(cv.早見沙織)という声優陣です。

「知っている曲を、知らない声で、知らないストーリーに乗って聴く」——この体験の衝撃が、3週連続1位という数字を作りました。

「あの頃のBUMPが帰ってきた」という感覚

SNSでは「BUMPのrayが急に来た」「EDで泣いてしまった」という反応が相次ぎました。現在25〜35歳前後——BUMPが「天体観測」「カルマ」「車輪の唄」で時代を作り、その後「ray」をリアルタイムで聴いた世代にとって、この曲は青春の記憶そのものです。

その曲が、今の自分が熱中しているアニメのEDとして流れてくる。この体験の強度は、「新しい曲がいい」という感動とはまた別の種類のものです。

実は「ray」とボカロシーンの縁はこれが初めてではありません。2014年のリリース時、BUMPは「ray feat. HATSUNE MIKU」という初音ミクとのコラボ版も発表しました。そのとき初音ミクのボイスプログラミングを担当したのが、今作の制作陣にも名を連ねるkz(livetune)です。「ray」はすでに2014年の時点で、邦ロックとボカロシーンをつないでいた曲だったのです。

2位「ワールドイズマイン」——2008年のボカロ史がここに蘇る

チャート2位の「ワールドイズマイン(かぐや&月見ヤチヨ ver.)」を手がけたのがryo(supercell)です。

「ワールドイズマイン」は2008年にニコニコ動画へ投稿され、初音ミクの代名詞的な一曲となったボカロ史上屈指の名曲。ryoはその後「supercell」としてメジャーデビューを果たし、今作には「ワールドイズマイン」のほか「メルト」リミックス、書き下ろしのメインテーマ「Ex-Otogibanashi」と計3曲を提供しています。

BUMP OF CHICKENを「バンドで聴いていた世代」にとっての「ray」。初音ミクで「ワールドイズマイン」を聴いていた世代にとっての「ryo」。どちらも「あの頃の自分に刺さる曲」が、2026年に声優の声で帰ってきた——その構造が、チャートのワンツーフィニッシュに結実しています。

「ボカロPオールスター」が揃った制作陣

ryo(supercell)だけでなく、『超かぐや姫!』の劇中曲はボカロシーンを彩ってきたクリエイターが集結しています。

  • kz(livetune)——「Tell Your World」でGoogle×初音ミクの世界CMに起用されたP。今作では「Reply」を担当
  • 40mP——「からくりピエロ」「恋愛裁判」などミリオン連発のP。今作では「瞬間、シンフォニー。」を書き下ろし
  • HoneyWorks——青春・恋愛系アニメとの親和性が高いユニット。今作では「私は、わたしの事が好き。」を担当
  • Aqu3ra・yuigot——現役ボカロシーンを担う新世代

監督を務めた山下清悟は今作が長編監督デビュー作。「ボカロPたちが第一線で活躍し始めた時代に青春を過ごし、今まさに業界で活躍している世代」が一堂に会した作品と言えます。

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J-ROCKもボカロも「同時に刺さる」のはなぜか

「BUMP OF CHICKENとボカロPが同じ作品に?」という組み合わせに違和感を覚える人もいるかもしれません。しかし今の25〜35歳世代にとって、この2つは実は矛盾しない。

BUMPの「天体観測」「カルマ」が流行した2000年代、同じ中高生がニコニコ動画でryoの「メルト」を聴き、「ワールドイズマイン」に熱狂していた。J-ROCKとボカロカルチャーは同じ世代に同時並行で育てられた文化なのです。

『超かぐや姫!』はその「両方好きだった世代」の急所を、1本の作品で両側から同時に打ちました。チャートのワンツーフィニッシュはその証拠です。

作品の中身——「仮想空間でのライバー活動」という現代設定

作品自体を見ていない人のために、ストーリーも簡単に。

舞台は夢と希望が集まる仮想空間<ツクヨミ>。バイトと学業を両立する17歳の女子高生・酒寄彩葉(cv.永瀬アンナ)が、ある日ゲーミング電柱から生まれた謎の赤ちゃんを拾います。瞬く間に成長した彼女が「かぐや」(cv.夏吉ゆうこ)——彩葉はかぐやのプロデューサーとして、共に仮想空間でのライバー活動を始めます。対するライバルが月見ヤチヨ(cv.早見沙織)。そこに「かぐやを月へ連れ戻す影」が迫る、という構図です。

「かぐや姫を現代のVtuber・ライバー文化で再解釈する」という発想自体が今の空気感にフィットしており、ゲーム・Vtuber・音楽・アニメのすべてに親しみのある層が一気に引き寄せられました。

今日から劇場が拡大——まだ間に合う

2月20日からの劇場公開は当初1週間限定の予定でしたが、予約開始直後の満員続出を受け上映延長&上映館拡大が決定。2月27日(本日)より新たな劇場での上映がスタートしています。さらに本日からはエンドロール後に「ray 超かぐや姫!Version」のMV映像も劇場上映されるとのことで、チャートを3週席巻したあの曲をスクリーンで体感できる、まさに今が見頃のタイミングです。

Netflix本編との組み合わせで、「配信で見てから劇場へ」という体験が多くのファンに広がっています。

まとめ:J-ROCKとボカロを「同時に育った世代」への同時打撃

BUMP OF CHICKENの「ray」がTAKU INOUEの手でEDテーマとなり、ryoの「ワールドイズマイン」が声優の声で蘇る。そこにボカロPたちの書き下ろしが加わる。

Billboard 3週1位というデータは、その世代が今も音楽と深く繋がっていることの証明です。『超かぐや姫!』が引き起こした熱狂は、「J-ROCKもボカロも両方好きだった世代」がコンテンツの受け手としても作り手としても成熟した瞬間を映し出しているのかもしれません。

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