このワダイ、3行で
- 『プリ画像』は、GMOメディアが運営した画像の投稿・検索サイトで、ガラケーの待受画像やデコメの素材探しにも使われ、2024年6月26日にサービスを終えました。
- 運営の保存ページから、2008年9月ごろに始まったとみられ、画像は会員が投稿し、権利者の申し立てを受けて運営が対応する仕組みでした。
- 会員が投稿した画像は、終了後に運営が消去すると告知され、保存作業も間に合わなかったため、今は多くが見られないとみられます。
『プリ画像』は、ガラケー(スマートフォンの前に主流だった、折りたたみ式などの携帯電話)の時代に、会員が投稿した画像を探して使えた無料の画像サイトです。GMOメディアが運営し、2024年6月26日の正午にサービスを終えました。携帯電話の待ち受け画面に設定する「待受画像」や、メールを飾る「デコメ」の素材探しにも使われた場所でした(2026年10月29日時点の整理です)。
終了から2年以上がたち、会員の投稿はもう運営のページからは見られません。何ができて、いつ始まり、画像の権利はどう扱われ、どう終わったのか。残っている運営の保存ページと公式発表から、いま確かめられる範囲を整理します。
『プリ画像』とは何だったのか──投稿して、探して、評価する画像サイト
運営の説明では、『プリ画像』は画像の検索・投稿・評価・共有・ダウンロードができるサービスでした。メールで画像を投稿でき、画像の回転やサイズ変更もでき、画像にコメントも付けられました(運営の「プリ画像とは」、2013年6月に保存されたページ)。
規模も、運営のページに出ています。2010年8月に保存されたページには「画像総数100万枚突破」「毎日1万枚画像が増えてる」とあり(運営ポータルの保存ページ)、2012年1月に保存されたトップには総画像数が6,213,197枚と表示されています(プリ画像トップの保存ページ)。2008年9月に保存されたページ(r.prcm.jp)は、半角カナの混じる、ケータイ向けの簡素な作りです。
お金の仕組みも書かれています。2008年9月の保存ページには「プリキャン革命!及びプリ画像は広告収入により運営されております」とあり、利用者は無料で、サイトは広告で成り立っていました。2021年度の有価証券報告書の事業説明(転載)では、運営のGMOメディアが『プリ画像』を「10代女子を中心に人気」と説明しています(転載サイト)。
『プリ画像』には、親にあたるサイトがありました。『プリキャン革命!』です。有価証券報告書の沿革では、2006年6月に女子大学生向けの日記サービスとして始まったとされ、2007年12月に保存されたトップでは「無料ホムペ作成」をうたっています。ホムペは、ケータイで作る無料のホームページの略です。パソコンでHTMLを書いて作る個人ホームページの時代は個人ホームページの時代のページで整理していますが、ケータイの中にも、ホムペという形で似た遊び場が育っていました。『プリ画像』には、そのホムペを飾る素材を探す場所という面もありました。
なお、プリ画像の画像は、権利の関係でこのページには載せていません。
いつ始まった? 保存ページから読み取れること
運営が出した「開始のお知らせ」は見つかっていません。そこで、Internet Archive(ネット上のページを保存している団体)に残っている運営の自前ページを、保存された日の順に見ました。保存された日は、元のページが公開された日とは別なので、「ここまでには存在した」という目安として読みます。
- 2008年8月9日の保存: 画像サービスのページのタイトルは「プリキャン画像」で、「9月8日リリース予定」と書かれています(保存ページ)。
- 2008年9月13日の保存: タイトルが「プリ画像」に変わり、ジャンルの一覧と新着画像が並んでいます(保存ページ)。
- 2009年2月16日の保存: 親サイトのトップ(prcm.jp)に「プリ画像」の名前が出ます(保存ページ)。これ以前に保存されているトップ(2008年10月〜2009年1月)には、この名前がありません。同じ年の4月10日には、運営の利用規約の改定履歴に「プリ画像利用規約制定」と書かれています(利用規約の保存ページ)。
予告ページ自体には年が書かれていないため、保存された日付(2008年8月9日)から2008年のものと読んでいます。つまり、予告ページに書かれた「9月8日」から数日後の保存ページでは、すでに『プリ画像』の名前で動いていました。このことから、『プリ画像』は2008年9月ごろに、「プリキャン画像」の予告から名前を変えて始まったとみられます。ただし、保存ページから読み取った結果で、運営が日付を発表したわけではありません。
何に使われた? 待受とデコメ、ガラケーの時代
2008年9月の保存ページには、探せる画像の種類がこう並んでいます。待受画像、歌詞画、詩画、ペア画、空画、アイドル画像、芸能人画像、アニメ同人画像、デコメ素材、ホムペ素材です。ホムペは、ケータイの無料ホームページを指すと読めます。「好きな画像が必ず見つかる」と書かれたジャンルの中に、待受画像とデコメの素材が入っていました。2012年のトップにも「待受,デコメ,お宝画像も必ず見つかる」とあり、人気キーワードの欄には「待ち受け」「背景画像」「デコメ 絵文字」といった言葉が並んでいます。
「デコメ」とは
デコメは、ドコモの携帯電話のメールを、背景色や文字の色・大きさ、写真やアニメ画像で飾る機能『デコメール』の通称です。ドコモは2003年12月18日に、2004年の年明け以降に発売する900iシリーズの機能として、HTML形式のメールで「背景色や、文字の色や大きさ等の変更が可能」、本文の途中に撮影した写真やアニメーション画像を貼れると発表しました(ドコモの報道発表)。ケータイ Watchは2004年3月に、デコメールを「FOMA 900iシリーズで使えるようになった新しいメール機能」と解説しています(ケータイ Watch)。
最初は900iシリーズなど対応機種どうしの機能でしたが、ドコモは2004年12月15日の午前9時から、対応機種以外のiモード対応携帯でも(一部の機種を除く)受け取れるようにしました。対応していない機種には、メールにURLが付き、ブラウザで開くとデコメールが表示される仕組みです(ドコモの報道発表)。デコメの土台になった『iモード』(ドコモの携帯でインターネットやメールを使うサービス)の歴史は、iモードの終了と歴史のページにまとめています。
こうして、メールを飾る機能と、飾るための画像を無料で集める場所が、ガラケーの上で重なりました。プリ画像側の「デコメ素材」「デコメ 絵文字」という言葉は、その重なりを示す運営の表記です。
画像の権利は、どう扱われていたのか
先に、前提を確認します。文化庁は「原則として、他人の作品をネットにアップするには、権利者の許可(許諾)が必要」としていて、SNSへの投稿は「一般への公開」にあたると説明しています(文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと」)。顔が写った写真には、自分の肖像をみだりに使われない権利である肖像権への注意も必要とされています(文化庁)。
『プリ画像』では、画像を投稿するのは会員で、運営は場を用意し、問題が連絡されたら対応する形でした。運営のガイドライン(2012年12月に保存)には、気をつけてほしい法律違反として「名誉毀損/犯罪予告/脅迫/著作権侵害/肖像権侵害/プライバシーの侵害」が挙げられ、投稿した画像やコメントは「全世界の人が見る事のできる情報」になると書かれていました(ガイドラインの保存ページ)。
権利をもつ人のための窓口も用意されていました。「通報画像について」のページ(2012年9月に保存)には、権利者本人と弁護士などの代理人は「プロバイダ責任制限法著作権関係ガイドライン」にそった手続きをとれば「速やかに対応致します」とあります(保存ページ)。このガイドラインは、著作権侵害の連絡を受けたネットの事業者が適切に対応できるように、判断の目安と手順を示すもので、総務省のページで紹介されています(総務省)。2024年の終了告知のページにも「各種権利侵害お申し立てについて」の項目がありました。
探せる画像のジャンルにはアイドル、芸能人、アニメ同人の画像も並んでいました。投稿された一つひとつの画像が許可を得ていたかどうかは、外からは確かめられません。このページでは、特定の画像や利用者のケースには触れず、「会員が投稿する→権利者が申し立てる→運営が対応する」という仕組みの説明にとどめます。
スマホの普及と、2024年の終わり
ガラケーからスマートフォンへの入れ替わりは、短い間に進みました。総務省の白書では、スマートフォンの普及(世帯ごと)は2011年末に29.3%、2013年末に62.6%です(平成24年版、平成26年版)。『プリ画像』も、2012年1月に保存されたトップにはiPhone向けとAndroid向けのアプリの案内が出ています。半角カナの簡素な画面から、アプリへ。入れ物が変わっても、画像を探して使うという役割は続いていました。
終わりは、運営のお知らせで告げられました。2024年5月9日に、6月26日(水)12:00でサービスを終えると発表し、アプリ(iOS・Android)はその日に提供を停止しました。同時に『プリキャントーク』と『プリキャンニュース』も終了し、姉妹サービスの『プリ小説』は続いています。会員が投稿した文章と画像は、サービス終了後にすべて消去し、二次利用はしないと書かれています(運営のお知らせ、2024年5月9日の保存ページ)。終了の理由は、このお知らせには書かれていません。今のprcm.jpには、終了を知らせるページだけが残っています。
保存の動きもありました。Archive Team(消えそうなサイトを保存するボランティアの集まり)の記録では、保存作業は、終了の7日前の2024年6月19日と3日前の23日に始まりましたが、終了までに完了できませんでした。理由の一つとして、サイト側のアクセス制限が非常に厳しかったことが挙げられています。集めたデータはInternet Archiveにありますが、閲覧は制限されています(Archive Team wiki)。会員の投稿を運営が消す約束をしていたことと合わせると、会員が投稿した画像の多くは、今は見られないとみられます。運営の終了とともに投稿が見られなくなる流れは、『ジオシティーズ』や『Flash』が見られなくなった理由のページと同じ構造です。
いま『プリ画像』そのものは使えません。残っているのは、運営のお知らせの保存ページと、一部の保存、そして当時を覚えている人たちの記憶です。
年表で見ると
| 時期 | できごと | 出典 |
|---|---|---|
| 2003年12月18日 | ドコモが900iシリーズの機能として『デコメール』を発表 | ドコモ(一次) |
| 2004年12月15日 | デコメールが対応機種以外のiモード対応携帯(一部を除く)でも受信可能に | ドコモ(一次) |
| 2006年6月 | 『プリキャン革命!』が始まる | 有価証券報告書の沿革(転載) |
| 2008年8月9日(保存) | 「プリキャン画像」が「9月8日リリース予定」と予告 | 運営の保存ページ |
| 2008年9月13日(保存) | 「プリ画像」の名前で画像一覧が表示される | 運営の保存ページ |
| 2009年4月10日 | プリ画像の利用規約が制定される | 運営の保存ページ |
| 2010年8月(保存) | 画像総数100万枚突破と案内 | 運営の保存ページ |
| 2012年1月(保存) | 総画像数6,213,197枚と表示。iPhone・Android向けアプリの案内 | 運営の保存ページ |
| 2013年末 | スマートフォンの世帯普及率が62.6% | 総務省(一次) |
| 2024年5月9日 | 終了を告知。アプリの提供を停止 | 運営の保存ページ |
| 2024年6月26日 | サービス終了 | 運営(一次) |
まだ分かっていないこと
- 運営が出した『プリ画像』の正式な開始日(見つかったのは保存ページだけです)
- サービス終了の理由(お知らせには書かれていません)
- アプリの提供開始日
新しい情報が出たら、このページに書き足します。



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