有休が2年で消える。使い切れない分はお金? それとも全部休みたい?

最終更新 公開 ワダイジェイピー編集部

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3行でいうと

  • 2026年10月31日から11月1日のXには、使えず消える分の金銭化を望む声と、お金に換えると休めなくなると心配する声がある。
  • 2017年のBIGLOBE調査では、買い取り45.3%、取得率100%33.9%、日数増加20.8%だった。
  • 厚労省の2025年調査では取得率66.9%。付与と取得の差は、時効で消えた日数を表す数字ではない。
東京・霞が関の交差点から見た、屋上に赤白の鉄塔がある高層の中央合同庁舎第5号館。左手前に低い庁舎、手前に横断歩道と街路樹がある
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(東京・霞が関)所在地は厚労省の所在地案内による。写真:文部乱(Wikimedia Commons)、CC BY-SA 4.0。2020年1月3日撮影。縮小のみで加工なし

2026年11月2日時点の情報です。

年表

出来事を日付順に見る(5件)
  1. PRESIDENT Onlineの2014年の記事によると、ヤフーの買い取り解禁についてのアンケートで83%が賛成した。元の投票ページは未取得。報道[1]
  2. BIGLOBEが有給休暇に関する意識調査を発表。希望は買い取り45.3%、取得率100%33.9%、日数増加20.8%。確認済み[2]
  3. 厚労省によると、年10日以上の年休が付与される労働者に年5日取得させることが使用者の義務となった。確認済み[3]
  4. 厚労省によると、賃金等の消滅時効に関する改正後も、年休権の時効は2年のままとされた。確認済み[4]
  5. 有休の消滅に疑問を示すXの投稿があり、翌日には金銭化を望む声と休養を重視する声が確認できる。確認済み

何が起きたか

2026年10月31日、有休が2年で消えることへの疑問がXに投稿され、翌11月1日には、残る分をお金で受け取りたい声と、休めなくなることを心配する声が出ました。〔出典:Xの投稿、別々の4アカウントの要旨〕 厚労省の説明では、年休の消滅時効は2年。2020年の賃金等の時効の改正でも、年休権の期限は据え置かれました。厚労省

どっち派?

使い切れない有休、お金で受け取りたい? それとも、全部休める方がいい?

それぞれの立場の「なぜ」

投稿・取材で語られた理由の要旨です。投稿者の職場で起きたことを裏付ける資料や、世論の割合を示すものではありません。

お金で受け取りたい立場の人

  • 使えないまま失いたくない。2026年の投稿には、働いて得た権利なのに会社の都合で使い切れないのが不満で、全日取得か金銭での還元を望む人がいます。〔Xの投稿1件の要旨〕
  • 長く勤めても休めなかった。別の投稿では、長年働いてきたのに使えた機会は少なく、買い取りを望む人がいます。36年で使えたのは数えるほどだといいます。〔Xの投稿1件の要旨〕
  • 部署による違いを埋めたい。2014年の取材では、人手不足で休めない部署で働く人が、全部取得できる他部署との不公平感から、年末の清算を望んでいました。PRESIDENT・1頁

全部休める方がいい立場の人

  • お金を理由に休めなくなるのが心配。2026年の投稿には、金銭化されると、会社が支払いと引き換えに出勤を求められるようになると心配する人がいます。〔Xの投稿1件の要旨〕
  • 有休は休養や気分転換のため。別の投稿では、有休を体の回復や気分転換のためのものと捉え、金銭に置き換える性質の制度ではないと考える人がいます。〔Xの投稿1件の要旨〕
  • 家族と過ごす時間がほしい。2014年の取材では、働く女性が夫に有休を取って育児を分担してほしいと話し、買い取りで夫がさらに休まなくなることを心配していました。PRESIDENT・2頁

BIGLOBEの2017年7月のネット調査は、全国の20〜50代の社会人1,000人が対象。有休についての希望は、買い取り45.3%、取得率100%33.9%、日数増加20.8%でした。今回の投票とは選択肢が異なり、今の賛否の割合ではありません。BIGLOBE

「どっちも」には、全部休める職場がいいが、それでも残った分はお金で受け取りたい、という選び方も含みます。

どっち派?使い切れない有休、お金で受け取りたい? それとも、全部休める方がいい?

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起きた(年表):ネットに残る買い取りの問い

  • 2013年11月〔報道〕:PRESIDENTの2014年の記事によると、ヤフーの買い取り解禁のアンケートでは83%が賛成。同記事の筆者は、年収を増やす方法として買い取りに注目し、規制緩和の一つとして検討すべきだという意見とともに、休める部署との不公平感や、家族に休んでほしいという声を紹介しました。元の投票ページは未取得で、世論調査としての数字ではありません。PRESIDENT
  • 2017年7月31日〔事実〕:BIGLOBEが前述の調査を発表。当時、休暇日数を増やす議論がある中で、買い取りや取得率100%を望む回答を紹介しました。BIGLOBE
  • 2019年4月1日〔事実〕:厚労省によると、年10日以上の年休を付与される労働者に、年5日取得させることが使用者の義務になりました。厚労省
  • 2020年4月1日〔事実〕:厚労省は、年休は発生した年内での取得が望ましく、取得率向上の観点もあるため、賃金請求権と同じ扱いにせず時効2年を維持したと説明しています。厚労省
  • 2026年10月31日〜11月1日〔投稿確認〕:2年で消えることへの疑問に、金銭化への期待と、休む機会への心配が出ました。〔Xの投稿4件の要旨〕

制度の背景では、名古屋大学の法令DB収録文によると、労働基準法は1947年4月7日公布で、当初は1年勤務・8割出勤で6日の年休、請求権の時効は2年。衆議院掲載の改正法では、1988年4月1日施行の改正で労使協定による計画的付与の規定が設けられました。制定時の条文、改正法

取得率は上がった。残る日数と、消えた日数は別

厚労省の就労条件総合調査では、取得率は2018年の52.4%から、2025年調査が示す2024年実績の66.9%へ上昇。後者は1984年以降で最高でした。対象は常用労働者30人以上の民営企業です。2019年公表資料、2025年調査・8頁

厚生労働省の第2図「労働者1人平均年次有給休暇取得率の年次推移」の折れ線グラフ。昭和59年調査の55.6%から上下し、平成13〜29年調査は46〜49%台で推移、平成31年調査の52.4%のあと令和2年56.3%、3年56.6%、4年58.3%、5年62.1%、6年65.3%、7年66.9%と上がっている。横軸は調査年
第2図 労働者1人平均年次有給休暇取得率の年次推移(横軸は調査年。平成13年以降は調査年の前年1年間の状況)出典:「令和7年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)8頁・第2図(PDF、2026年11月4日に利用)。PDFの該当部分を切り出して画像にしたもの。公共データ利用規約(第1.0版)による

同調査の1人平均は付与18.1日、取得12.1日。差し引くと6.0日ですが、付与は繰越分を除き、取得にはその年に実際に取った日数を数えます。この差は、時効で消えた日数そのものではありません。業種別の取得率も、電気・ガス・熱供給・水道業75.2%、宿泊業・飲食サービス業50.7%と異なります。同調査

厚生労働省の第5表「労働者1人平均年次有給休暇の取得状況」。令和7年調査計は付与18.1日・取得12.1日・取得率66.9%。企業規模別と産業別の付与日数・取得日数・取得率が並び、電気・ガス・熱供給・水道業は75.2%、宿泊業・飲食サービス業は50.7%。最下行は令和6年調査計の16.9日・11.0日・65.3%
第5表 労働者1人平均年次有給休暇の取得状況(付与日数は繰越日数を除く)出典:「令和7年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)8頁・第5表(PDF、2026年11月4日に利用)。PDFの該当部分を切り出して画像にしたもの。公共データ利用規約(第1.0版)による

期限と買い取りについての行政の説明

厚労省によると、繰越分と当年分の使う順序は就業規則等の定めによります。定めがない場合は繰越分からの請求と推定され、2年より長い期間を定めることも差し支えないとしています。厚労省

鹿児島労働局は、買い取りを予約して法定の年休日数を減らしたり、請求された日数を与えなかったりすることはできないと説明。福井県労働委員会事務局の相談冊子は、時効等で消滅する場合の調整的な金銭給付は39条違反とはならず、退職時の残りの買い上げは差し支えないものと思われるとしています。同時に、取得を抑える効果は好ましくないとも述べています。鹿児島労働局、福井県労働委員会事務局・冊子89頁

鹿児島市山下町の鹿児島合同庁舎。濃い灰色の外壁の5階建ての庁舎で、屋上に日の丸が掲げられ、1階の前に刈り込んだ松と駐車中の車がある
鹿児島労働局(山下町庁舎)が入る鹿児島合同庁舎所在地は厚労省の所在地案内による。写真:Suikotei(Wikimedia Commons)、CC BY 4.0。2025年8月10日撮影。縮小のみで加工なし

まだ分かっていないこと

実際に時効で消えた日数の総数、2013年11月より前に消滅・買い取りがネットで広く話題になった記録、今回の議論を受けた制度見直しの動きは未確認です。取得率の調査から、個々の職場で休めない事情までは分かりません。

つながる話・用語

年次有給休暇は賃金を受け取りながら休む制度。計画年休・年5日の取得義務は取得の仕組み、消滅時効は請求権の期限についての言葉です。

出典

制度・数字・過去の取材は各段落のリンク先。一般の人の声は「Xの投稿(2026年10〜11月、別々のアカウント4件の要旨)」です。

最後に確認した日:2026年11月2日(日本時間)。

出典

  1. なぜだ? 有給休暇「買取」反対派の言い分と買取価格(全3ページ)(PRESIDENT Online、2014年8月6日)
  2. 有給休暇に関する意識調査(ビッグローブ株式会社、2017年7月31日) 一次資料
  3. 使用者に年休5日付与義務が課せられました。留意点は?(厚生労働省) 一次資料
  4. 年次有給休暇権の時効は?(厚生労働省) 一次資料
  5. 繰り越された年次有給休暇と当年の年次有給休暇の付与順位(厚生労働省) 一次資料
  6. 年次有給休暇 Q8(買上げ)(鹿児島労働局) 一次資料
  7. 労働相談Q&A L-2 退職間際の有給休暇取得(冊子89頁)(福井県労働委員会事務局)
  8. 令和7(2025)年就労条件総合調査の概況(8頁)(厚生労働省、2025年12月19日) 一次資料
  9. 平成31年就労条件総合調査の結果(厚生労働省、2019年10月29日) 一次資料
  10. 労働基準法(1947年制定時の収録条文)(名古屋大学 日本法令沿革データベース)
  11. 労働基準法の一部を改正する法律(昭和62年法律第99号)(衆議院、1987年9月26日) 一次資料

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