2027年1月、カリフォルニア州でひとつの法律が施行される予定です。スマートフォンやパソコンのOSを提供する事業者に、アカウント作成時に年齢確認を義務づけるもので、対象はWindows・macOS・iOS・Androidだけではない。なんとLinuxディストリビューションやSteamOSまで含まれる可能性があります。
日本ではSNSの年齢制限やAI規制が「どうするか」の議論段階にある中、アメリカの州はすでに動き出しています。州ごとにルールを作るアメリカの「パッチワーク規制」の実態を整理してみます。
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- カリフォルニア州がOSに年齢確認を義務化する法律を成立。LinuxやSteamOSも対象になる可能性があり、対応できないOSは「州外追放」を検討
- フロリダ州は2025年1月から14歳未満のSNSアカウント作成を禁止。全米35州が子供のIT利用保護策を導入または検討中
- 日本では国レベルの議論が続く中、アメリカは州単位でIT規制が先行している
カリフォルニアがLinuxにも「年齢確認」を求める
問題の法律は「Digital Age Assurance Act(AB-1043)」。2027年1月1日の施行を目指して準備が進んでいる。
内容はシンプルだ。OSプロバイダーはデバイスのアカウント作成時にユーザーの年齢を確認するUIを提供しなければならない。さらに、アプリストアを通じて配信するアプリ開発者からリクエストがあった場合、ユーザーの年齢帯(13歳未満・13〜16歳・16〜18歳・18歳以上の4段階)を示すAPIを提供することも義務づけられる。
問題は対象範囲の広さだ。マイクロソフト・Apple・Googleといった大手だけでなく、LinuxディストリビューションやSteamOSにも適用される可能性があります。すでに一部のLinuxディストリビューションは「カリフォルニア州から撤退する」という検討を表明。オープンソースソフトウェアの開発文化と、商業的な年齢確認義務という概念は本来、相性が悪い。
違反した場合の罰則は、子ども1人あたり過失で最大2,500ドル、故意の場合は7,500ドルの民事制裁金です。
フロリダは「14歳未満はSNS禁止」を法制化した
2025年1月1日、フロリダ州では14歳未満のSNSアカウント作成を禁止する法律が施行された。
規制対象となるのは、無限スクロール・「いいね」の表示・動画の自動再生・ライブストリーミング・プッシュ通知といった機能を持つSNSプラットフォーム全般だ。14歳・15歳は保護者の同意があればアカウント取得が可能とされています。
背景には、SNSとティーンエイジャーのメンタルヘルス問題への危機感があります。いじめ・うつ・摂食障害・自傷行為との関連が指摘される中、フロリダ州は政治的に珍しく超党派で賛成意見が出て法案が成立した。
コロラドでは全米初の「包括的AI規制法」
2026年2月、コロラド州で全米初の包括的なAI規制法が施行された。「Colorado AI Act」と呼ばれるこの法律は、AIを使う企業に対してバイアス(偏り)のリスク管理や透明性の確保を義務づけるものです。
また、カリフォルニア州では2025年9月に「先端AI透明性法(SB53)」が成立し、大手AI開発事業者に透明性の確保を求めています。
35州が動いているという現実
全米50州のうち35州が、子どものIT利用保護策の導入に乗り出しています。内容は州によって異なるが、共通しているのは「子どもへの影響」を真剣に受け止めている点だ。
アメリカは連邦制のため、州ごとにルールが異なる「パッチワーク規制」になりやすい。テクノロジー企業にとっては対応コストが増える一方、各州が独自に動くことで規制のスピードが上がるというメリットもあります。
日本との比較
日本でも未成年のSNS利用問題は議論されているが、法的な規制は限定的です。2023年に「青少年インターネット環境整備法」の改正が行われたものの、具体的な年齢制限や禁止措置には至っていません。
アメリカが州単位で次々と規制を先行させている現実は、「日本はどこまで許容するのか」という問いを突きつけています。LinuxやオープンソースOSがカリフォルニアの商業規制に巻き込まれるという想定外の展開は、デジタル規制の難しさをよく表しています。



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