食料品の消費税を2年間1%に下げる法案 2027年4月から・衆院で審議中(2026年11月5日時点)

最終更新 公開 ワダイジェイピー編集部

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国税庁Q&Aの対象範囲の図。飲食料品と持ち帰り・出前は1%の対象、外食・酒類・ケータリング等は10%の対象外として示されている。法案成立を前提とする説明。
国税庁Q&A・問1-2「税率1%とされる飲食料品の譲渡のイメージ」(法案成立を前提とする説明)出典:国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」冊子2頁・問1-2。法案成立を前提とする説明。図の部分を切り出し。公共データ利用規約(第1.0版)による。2026年11月5日確認。

2026年11月5日時点の情報です。

年表

出来事を日付順に見る(7件)
  1. 首相が飲食料品を2年間、消費税の対象としない案の検討加速を表明。確認済み[7]
  2. 施政方針演説で、飲食料品の2年間のゼロ税率の検討加速を表明。確認済み[7]
  3. 関西テレビが、0%へのレジ改修には約1年かかるという販売会社の説明を報道。報道[6]
  4. 政府が飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱を閣議決定。確認済み[2]
  5. 政府が法案を閣議決定し、第222回国会へ提出。確認済み[4]
  6. KABが衆院本会議での審議入りと、首相の2年後の税率復元に関する答弁を報道。報道[11]
  7. 時事通信が、6日の衆院財務金融委員会への首相出席で合意し、採決日程への回答は保留されたと報道。報道[15]

政府が2026年10月9日に国会に出した法案は、2027年4月1日から2029年3月31日まで、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げ、働く人への『就業者負担軽減支援金』も設ける。外食と酒類は10%のまま。財源はまだ決まっていない。11月5日時点で衆院で審議中。 内閣官房の法案概要

11月5日時点では衆院で審議中

内閣官房によると、政府は10月9日に法案を閣議決定し、第222回国会へ提出しました。KABは10月20日、衆院本会議で審議入りしたと報じています。閣議決定は政府が法案の提出を決めた段階で、国会での成立とは別です。内閣官房、KAB

時事通信の11月4日報道では、自民党は6日の衆院財務金融委員会と本会議で採決する日程を提案。首相が委員会に1時間出席することでは合意しましたが、衆院会派「中道」は当日の答弁を聞いて判断するとして回答を保留しました。同1日の報道では、与党は参院で過半数に4議席足りず、12月12日の会期末までの成立を目指しています。時事通信・11月4日、11月1日

ゼロ税率の検討から1%の法案まで

内閣官房の国民会議資料には、首相が1月19日の会見で飲食料品を2年間、消費税の対象としない案の検討加速を表明し、2月20日の施政方針演説でもゼロ税率の検討加速を述べたことが載っています。2月26日の国民会議では、税率の変更に柔軟に対応するシステムへの提案も求めています。国民会議資料・2〜3頁

関西テレビの6月26日記事は、1%案の背景としてレジの改修期間を報じました。取材した大阪のレジ販売会社のシステムでは、0%を入力すると税率が存在しないと判断され、10%扱いになる場合があると説明。改修に約半年、テスト・検証に3〜6カ月かかるという同社の説明です。すべての店のレジが同じ仕様だとする報道ではありません。関西テレビ

時期 発表・報道された内容
1月19日・2月20日 首相が2年間のゼロ税率の検討加速を表明(国民会議資料)
6月26日 関西テレビが0%へのレジ改修にかかる期間を報道
9月15日 政府が1%への引下げと支援金を組み合わせる大綱を閣議決定
10月9日 政府が法律案を提出
11月4日 時事通信が6日の採決提案と、回答保留を報道

残す1%分と就業者負担軽減支援金

法案の1%は、国の消費税0.78%と地方消費税0.22%相当の合計です。大綱では、2027・2028年度の支援金に要する費用を、飲食料品の消費税1%相当分の範囲に収めるとしています。内閣官房は、減税と所得に応じた給付を組み合わせ、全体として飲食料品の消費税の実質ゼロ化を実現すると説明しています。国税庁Q&A・冊子1頁、大綱・10頁、内閣官房

支援金は勤労所得や合計所得、税・社会保険料の負担などの要件を満たす人に毎年1回支給する設計です。対象となる所得の線引きや額は政令で定めます。食料品を買った全員に、その買い物の税額が払い戻される仕組みではありません。法案概要には、費用の3分の2以上を国が、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ負担するとあります。法案概要

税率を下げる時と戻す時の値札表示

大綱には、値札の貼り替えが間に合わないなど、直ちに新税率の税込表示に対応するのが難しい場合の特例があります。実際の支払額と誤認されないための措置が条件です。税抜価格だけの表示や、本体価格に「+税」とだけ付ける表示は、引き続き認めないとしています。大綱・5頁

期間 特例で表示できる税込価格
2027年2月1日〜3月31日 引下げ前に1%の価格を先に表示
2027年4月1日〜5月31日 引下げ後も8%の価格を表示
2029年2月1日〜3月31日 戻る前に8%の価格を先に表示
2029年4月1日〜5月31日 戻った後も1%の価格を表示

この特例は表示の切替期間を設けるもので、その間の商品に使う税率を店が自由に選べるという意味ではありません。国税庁の例では、8%の価格を表示した棚にも、レジでは1%で精算すると明瞭に掲示します。Q&A全体は、法案が国会で可決・成立した場合の説明です。国税庁Q&A・冊子23〜24頁

2027年4月1日の1%への引下げと2029年4月1日の8%への復元を示す横軸の図。各変更の前後2カ月に、①1%、②8%、③8%、④1%の税込価格も表示できる期間を示す
値札表示の切替期間(令和9年=2027年、令和11年=2029年)。法案が可決・成立した場合の国税庁の説明出典:「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(国税庁)冊子23頁・問3-9(PDF、2026年11月5日に利用)。PDFの該当部分を切り出して画像にしたもの。公共データ利用規約(第1.0版)による

過去の税率引上げで動いた購入時期

総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯)では、5%から8%へ上がる直前の2014年3月25〜31日、しょう油など油脂・調味料への支出は前年同期に比べ実質46.6%増でした。トイレットペーパーなど家事用消耗品は99.4%増。4月以降には反動の買い控えがみられました。統計Today No.84

2019年10月の引上げでは食料品は8%に据え置かれました。内閣府の分析は、スーパーで9月に酒類や日用品の駆け込みがあった一方、飲食料品には軽減税率が適用されるため、販売額の伸びは百貨店より小さかったとしています。10月の販売減には、台風・大雨による短縮営業の影響も挙げています。内閣府「地域の経済2019」

日本総研の藤本一輝氏は今回の案について、コメや加工食品など備蓄可能な品目の駆け込みと反動により、消費が振れる公算が大きいと分析しています。これは実施後の観測値ではなく、8月5日公表の見通しです。日本総研・1頁

2014年は油脂・調味料への支出が3月25〜31日に前年同期比で実質46.6%増となり、4月1〜7日にはマイナスへ転じた。1997年の同じ期間の推移と比べた折れ線グラフ
税率引上げ前後の油脂・調味料への支出(2014年と1997年、7日間ごとの前年同期比・実質、二人以上の世帯)出典:「統計Today No.84」(総務省統計局、2014年9月30日)図3(2)(原ページ、2026年11月5日に利用)。画像全体を使用、加工なし。公共データ利用規約(第1.0版)による

政府方針への賛否と財政への不安

共同通信が8月22〜23日に行った全国電話世論調査では、翌年4月から2年間、食料品の税率を1%に下げる政府方針に賛成52.7%、反対43.1%でした。回答は固定電話425人、携帯電話627人の計1,052人。同じ調査で財政への不安を感じる・ある程度感じるという回答は計71.7%でした。共同通信

賛否と財政不安は別の質問の結果です。賛成した人のうち何人が不安も選んだかという内訳は、この記事にはありません。また、この調査は外食の頻度や2029年の税率の予測を尋ねたものではありません。

取り上げる点

この法案から、お店の中で食べるか持ち帰るかで税率が変わる点を取り上げます

法案では、現在8%の軽減税率が適用される飲食料品が引下げの対象です。店内飲食と酒類は10%のまま。持ち帰り・出前との税率差は2ポイントから9ポイントへ広がります。週2回以上発行される新聞の定期購読分は8%のままです。大綱・2頁

生活者が挙げた減税への期待と懸念

以下は減税についての理由の要旨です。「この1週間に外食した/していない」人を調べた理由ではありません。

出典 期待する理由 懸念する理由
ファイナンスメディア・自由記述 食品の値上がりが続く中、税負担が下がれば日々の家計が助かるという意見。 食品自体の値上げが続けば、減税の効果が打ち消されるという意見。
みんなの声研究Lab・自由回答の分類 買える物が増えたり、ほかの支出に回せたりする余裕への期待。 財源の穴埋めで、別の税負担や社会保障への負担が増えることへの不安。

前者は2026年8月に18歳以上348人が答えたネット調査。後者は8月19〜20日、クラウドワークスに登録する10代以上の男女400人へのネット調査です。後者は調査会社が自由回答を分類したものです。いずれも全国の世論を代表する無作為抽出の調査ではありません。

専門家が挙げた家計支援と終了時の影響

関西テレビの同じ記事で、りそな総合研究所の荒木秀之氏は、家計支援として大きな効果を期待できると説明する一方、8%に戻る際に見合った所得の増加がなければ、消費の減少は避けられないと指摘しています。これは研究者の評価で、生活者の自由回答とは別です。関西テレビ

投票

投票この1週間で、外食(お店の中で食べる)をした?

1人1票。押すと、ほかの人の割合が出ます(押す前は見えません)。

取り上げる点

この法案から、2年の期限が終わった後の点を取り上げます

法案での引下げ期間は2029年3月31日までです。KABは、首相が10月20日の衆院本会議で、社会保障財源や財政の持続可能性に触れ、2年後には税率を元に戻すと答弁したと報じています。法案概要、KAB

研究者が挙げた復元の理由と継続の可能性

8%への復元を求める事情 1%の継続があり得るとする事情
日本総研の藤本一輝氏は、財政の持続性や公約遵守の観点から2年後の税率引上げが要請されると分析。併せて、再増税で消費が下押しされる見込みも指摘しています。日本総研 野村総研の木内登英氏は、2年後に元の税率に戻すハードルが高く、恒久的な減税となる可能性があると分析。併せて、その場合の恒久財源の必要性も指摘しています。野村総研

この表は研究者が挙げた事情で、2029年の結果が決まったことを示すものではありません。生活者が減税の延長を望むかという質問と、実際に税率が戻るかという予測も異なります。

投票

投票法案どおり1%になったら、2029年4月に食料品の消費税は8%に戻ると思う?

1人1票。押すと、ほかの人の割合が出ます(押す前は見えません)。

まだ決まっていないこと

大綱は2027・2028年度の減税と給付について、特例公債に頼らず、補助金や租税特別措置などを含む歳出・歳入全般の見直しで財源を確保するとしています。具体策は2027年度の予算編成過程で結論を得る扱いです。2029年度以降の支援金には恒久財源を確保するとしています。大綱・14〜15頁

支援金の具体的な所得要件と額、参院での審議日程、法案の成立、2029年4月に税率が実際に8%へ戻るかは、11月5日時点で確定していません。法案概要、時事通信

出典

制度の範囲・期間・支援金は内閣官房と国税庁、国会の日程は時事通信、レジの改修と専門家の評価は関西テレビ、世論調査は共同通信によります。生活者の理由は民間2社のネット調査、過去の購入動向は統計局と内閣府、終了時の見通しは日本総研と野村総研です。各段落のリンクと出典一覧に資料を示しています。

最後に確認した日:2026年11月5日(日本時間)。

出典

  1. 「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」について(内閣官房・財務省、2026年10月) 一次資料
  2. 飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(内閣官房、2026年9月15日) 一次資料
  3. 飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(国税庁、2026年9月) 一次資料
  4. 「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」について(内閣官房) 一次資料
  5. 消費減税、首相出席が焦点 与党、6日衆院通過目指す(時事通信、2026年11月1日)
  6. 食料品消費税「1%」に落とし穴? 相次ぐ値上げに「減税のお得感は1カ月で相殺される」 外食産業への影響も懸念(関西テレビ、2026年6月26日)
  7. 参考資料(食料品消費税率ゼロ関係)(内閣官房・社会保障国民会議、2026年6月3日) 一次資料
  8. 消費減税、71%が財政に不安 内閣支持率は最低更新50%(共同通信(熊本日日新聞掲載)、2026年8月23日)
  9. 【2026年調査】食料品消費税1%引き下げへの意識|賛否と「2年限定」への本音(ファイナンスメディア、2026年8月24日) 一次資料
  10. 食料品の消費税1%案についてどう思う?家計への影響を調査(バリューファースト・みんなの声研究Lab、2026年9月16日) 一次資料
  11. 食料品8%→1%「2年後には元に戻す」消費減税法案の論戦スタート 消費者は、外食産業は…(熊本朝日放送(KAB)、2026年10月20日)
  12. 食料品の消費税率引き下げの安定財源確保は極めて困難(野村総合研究所・木内登英、2026年7月29日)
  13. 家計調査結果から見た消費税率引上げ前後の消費行動 ~今回の税率引上げ時は前回(平成9年)と比べて なぜ駆け込み需要が高かったのか?~(総務省統計局、2014年9月30日) 一次資料
  14. 第1章 第3節 消費の動向(内閣府) 一次資料
  15. 消費減税、6日にも衆院通過 与野党、高市首相出席で合意(時事通信、2026年11月4日)
  16. 食料品の消費減税、再増税時の消費減少は避けられず ― 時限減税は、終了時の価格上昇と消費の反動減を招く可能性 ―(日本総合研究所・藤本一輝、2026年8月5日)

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