2026年2月25日、連続起業家・溝口勇児氏が主導するコミュニティ「NoBorder DAO」が、高市早苗首相の名前を冠した仮想通貨「SANAE TOKEN」をSolanaブロックチェーン上で発行しました。価格は発行直後に約30倍まで高騰しましたが、その後、内部での売り抜け疑惑が浮上して価格は崩れ始め、3月2日夜に高市首相がXで関与を全面否定するとパニック売りが発生。事実上の終焉を迎えました。
この記事を3行で
- 溝口勇児氏のNoBorder DAOが2月25日に「SANAE TOKEN」を発行、初値の約30倍に高騰した。
- 発行後まもなく内部の売り抜け疑惑が浮上し価格は下落。3月2日の高市首相の否定ポストがとどめを刺した。
- 発行側が総供給量の65%を保有する構造で、法的グレーゾーンとの指摘もある。
そもそも「ミームコイン」って何ですか
話を理解するために、まず「ミームコイン」の概念を押さえておきましょう。ミームコインとは、ジョーク・話題性・有名人の名前などを元に発行される仮想通貨の一種です。技術的な革新性や実用性よりも「話題になっているから値上がりするかも」という期待感だけで価格が動くのが特徴です。
近年の代表例が、ドナルド・トランプ米大統領が大統領選勝利直後に発行した「TRUMP」コインです。発行後に一時的に大きく値上がりし、世界中で話題になりました。溝口氏はSANAE TOKEN発行の背景について「社会とトークンが結びつく時代は、もう現実」と語り、このトレンドを日本でも実現しようとした意図を示しています。
発行から30倍高騰まで——なぜ注目されたか
SANAE TOKENは2月25日にSolanaブロックチェーン上で発行されました。発行元のNoBorder DAOは「Japan is Backプロジェクトのインセンティブトークン」と位置づけました。
注目を集めた要因のひとつが、溝口氏がYouTube番組内で「実は高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいてて」と発言したことです。首相側の了承を示すものとして受け取ったユーザーが多く、「実質的に首相が関与している」という期待感が広がりました。価格は発行直後から急上昇し、時価総額は最高約25億円(1,700万ドル)に達したとされています。
いつ、何が起きたのか——7日間の全記録
「首相が否定したから暴落した」と報じられることが多いですが、実態はもう少し複雑です。以下の時系列を見ると、価格の崩壊は首相の否定より前に始まっていたことがわかります。
- 2月25日:SANAE TOKEN発行。Raydiumに上場し、投機資金が流入。初値から約30倍に高騰。溝口氏がYouTubeで「高市さんサイドとコミュニケーションを取らせていただいた」と発言。
- 2月26〜27日:高騰が続く一方、発行側が総供給量の65%超を保有していることへの疑念がSNSで広がり始める。上位5ウォレットが全供給量の63%を保有という分析も出回る。
- 2月28日:内部での売り抜け疑惑が本格化。NoBorder公式が「ウォレットからの売却はない」と声明を発表。価格はすでに高値から下落し始める。
- 3月1日:溝口氏本人がXに「運営の中に利確してるやついるの?話が違くないか」と投稿。発行者自身が内部のガバナンスを把握していないことを露呈し、炎上に油を注ぐ形に。
- 3月2日 22:48:高市首相がXで全面否定(後述)。価格はパニック売りで急落し、事実上のプロジェクト終焉。
- 3月3日:溝口氏は「ちょっと待ってください。今、関係者と話しています」と投稿するにとどまり、購入者への謝罪・補償に関する言及はなし。
実業家のZ李氏は、関連ウォレットが過去に「TAKAICHI TOKEN」「ISHIBA TOKEN」などの政治系トークンを繰り返し発行していたと指摘。構造的なポンプ&ダンプ(意図的に価格を吊り上げて売り抜ける手法)の疑いを提示しています。
高市首相、3月2日夜に全面否定
上記の経緯を経て、3月2日夜22時48分、高市首相がXに以下の声明を投稿しました。すでに売り抜け疑惑で崩れかけていた価格に、これがとどめを刺した格好です。
SANAE TOKENという仮想通貨が発行され、一定の取引が行われていると伺いました。…
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) 2026年3月2日
現職首相がミームコインについて直接声明を出す事態は異例で、大きく報じられました。「コミュニケーションを取らせていただいた」という溝口氏の発言との食い違いも批判を集めています。
なぜ危ないのか——投資リスクと法的問題
SANAE TOKENには構造的なリスクがあります。発行側が総供給量の65%を保有しており、いつでも大量売却(いわゆる「ラグプル」)が可能な状態です。ミームコインはこの構造で急落するケースが多く、一般の投資家が大きな損失を被るリスクがあります。
法的な問題も指摘されています。SANAE TOKENは国内の登録済み仮想通貨取引所では取り扱われておらず、資金決済法上の暗号資産交換業に該当する可能性があるという見方も出ています。違反した場合、最大5年の懲役または500万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
有名人の名前がついているからといって安全とは限りません。むしろ「誰かが盛り上げてから売り抜けるための構造」になっているケースが多く、後から参加するほど損をしやすい性質があります。
関連リンク
- 高市首相の否定声明について(ITmedia NEWS):https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/02/news126.html
- SANAE TOKEN公式サイト:https://japanisbacksanaet.jp/



コメント