「家のプリンターが勝手に動いて、他社の入社試験の解答用紙が出てきた」──ネットワークプリンターの怖い話

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「家のプリンターが勝手に動き出した」──その正体は他社の入社試験だった

「在宅で作業していたら、突然プリンターが動き出した。出てきたのは知らない会社の入社試験の解答用紙だった」──そんな投稿がTogetterでまとめられ、4万7千以上のPVを集めています。

「お化け?」と思いきや、原因はずっと地味で、ずっと怖い話でした。

なぜ他人の家のプリンターに印刷ジョブが飛んできたのか

原因として有力視されているのが、アパート・マンションの「共有ネットワーク問題」です。

集合住宅では、建物全体でインターネット回線を共有しているケースがあります。各部屋にWi-Fiルーターがあっても、建物の根幹ネットワーク(サブネット)が全戸で共有されていると、同じネットワーク上にある機器──つまり他の部屋のパソコンやプリンター──が「同じLAN内の機器」として見えてしまいます。

その状態で隣の部屋の人が「印刷」を押し、プリンターを間違えて選択(あるいはネットワーク上に自動検出された近くのプリンターを選択)すると、あなたの部屋のプリンターで印刷が走るのです。受け取った側はなぜ印刷されたかわからず、送った側も「印刷できた」と思って気づかない。

情報セキュリティの観点からはこれを「ネットワーク分離の不備」と呼びます。SNS上では「情シスが泡を吹いて卒倒するやつ」というコメントが大量についており、セキュリティ関係者の間でも笑えない話として広がりました。

ネットワークプリンターのセキュリティはなぜ甘くなりがちなのか

プリンターはPCやスマホに比べて「セキュリティ設定を意識する機会」がほとんどありません。買ってきて繋いで動けばOK、という人がほとんどです。

しかし実態はかなり危険な状態になっていることもあります。

  • 管理画面にパスワードが設定されていない(出荷時のデフォルトのまま)
  • グローバルIPアドレスに直接繋がっているプリンターがインターネット上に存在する(世界中からアクセスできる状態)
  • 印刷ジョブの履歴が本体メモリに残ったまま廃棄されている

実際、セキュリティ研究者が「インターネットに直接繋がったプリンター」を検索ツールで探し、勝手に印刷メッセージを送りつけるという実証実験が複数回行われており、そのたびに数万台のプリンターが反応しています。

自分の家・会社のプリンターは大丈夫?

今すぐできる確認と対策を整理します。

家庭向け

  • 集合住宅ならネットワーク分離を確認:管理会社や不動産に「各部屋のネットワークは分離されていますか?」と聞いてみる。分離されていない場合はルーターの設定でプライベートネットワーク化できる。
  • Wi-Fiプリンターのパスワード設定:プリンターの管理画面(通常はブラウザでプリンターのIPアドレスを入力)でアクセス制限をかける。
  • 使わないときはプリンターの電源を切る:最もシンプルな対策。

オフィス・テレワーク向け

  • 会社支給のプリンターをそのまま自宅Wi-Fiに繋がないこと(会社のIT部門に要確認)
  • 印刷ジョブは「セキュアプリント(暗証番号入力後に印刷)」機能を使う

入社試験の解答用紙を受け取った人のその後

Togetterのまとめによると、投稿者は受け取った書類をどう扱えばいいかわからず困惑。プリンターのログを確認しようとしたが設定方法がわからず、結局「シュレッダーにかけた」とのことです。

これが会社の機密書類や個人情報だったら、と考えると笑えません。「印刷できた」と思い込んでいる送信側の担当者が、試験情報の漏えいに気づかないまま採用を進めていた可能性もあります。

プリンターは「紙に出力するだけの機器」ではなく、ネットワークに繋がった情報機器です。PCやスマホと同じくらい、セキュリティの目を向けてみてもいいかもしれません。

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