名鉄百貨店、71年の歴史に幕──百貨店は「呉服屋の夢」から始まって、なぜここまで消えていったのか

コラム
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2026年2月28日、名古屋駅前に71年間立ち続けた名鉄百貨店本店が閉店した。最終日には多くの市民が詰めかけ、別れを惜しんだ。跡地は2040年代前半を目指す名古屋駅周辺の大規模再開発に組み込まれる予定で、名古屋の顔は長い歳月をかけて変わっていきます。

名鉄百貨店の閉店は、この10年で続く「百貨店閉店ラッシュ」のひとつに過ぎない。でも立ち止まって考えると、そもそも百貨店とはどういう店だったのか、なぜここまで消えていったのか——意外と知らないことが多いです。

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  • 名鉄百貨店本店が2026年2月28日に閉店。71年の歴史に幕、跡地は2040年代前半に再開発完成予定
  • 日本の百貨店売上はピーク1991年(9.7兆円)の6割以下に縮小。西武・そごう・伊勢丹など各地で閉店ラッシュが続く
  • 百貨店のルーツは江戸時代の呉服屋。「定価販売」という革命から始まった商業350年の歴史がある

百貨店はもともと「呉服屋」だった

三越、大丸、髙島屋、松坂屋、そごう——日本を代表する百貨店の多くは、もとを辿ると江戸時代の呉服屋にたどり着く。

中でも面白いのが三越の前身「三井越後屋」だ。1673年に江戸・日本橋に開いたこの店は、当時の商習慣を根本からひっくり返した。

江戸時代の商売は「値段はその場で交渉するもの」が当たり前だった。お得意様には安く、初見の客には高く。それが普通の時代に、越後屋は「現銀掛け値なし(定価販売)」を宣言した。誰でも同じ値段で買える——という当時としては画期的な売り方でした。そこから「誰でも入りやすい店」という文化が生まれていきました。

それから230年後の1904年、三越呉服店は「デパートメントストア宣言」を発表し、衣料品以外の多くの商品を扱う百貨店へと転換。これが日本初の百貨店とされています。「百貨」とは文字通り、百種類もの商品を取り揃える店という意味です。

ピークは1991年——9.7兆円の頂点

高度成長期からバブル期にかけて、百貨店は「小売の王様」だった。売上高は右肩上がりを続け、1991年に9兆7000億円というピークを迎えた。

デパートの屋上遊園地で遊び、地下の食品売り場で高級スイーツを買い、催事場の物産展に並ぶ——それが昭和・平成の「週末の過ごし方」だった時代があります。百貨店は単なる買い物の場ではなく、「ハレの日の目的地」だったのです。

バブル崩壊後、状況は一転する。節約志向の高まりとともに、ダイエーやイトーヨーカドーなど大型スーパー(GMS)が台頭。2000年代にはユニクロ・しまむら・ZARAなどファストファッションが衣料品市場を席巻し、2010年代以降はネット通販がとどめを刺した。

現在の百貨店市場は約5兆8000億円。ピーク時の6割以下にまで縮んでいる。

この10年で消えた主な百貨店

2010年代以降の閉店ラッシュは規模が違った。地方だけでなく、大都市圏の店舗まで次々と看板を下ろした。

主な閉店
2017年三越千葉店、大丸浦和パルコ店、西武船橋店
2018年伊勢丹松戸店、丸栄(名古屋・創業1768年)
2019年棒二森屋(函館)、伊勢丹府中店・相模原店
2020年そごう神戸西神店・徳島店、西武大津店
2023年西武池袋本店(運営がヨドバシ系に移行)
2026年名鉄百貨店本店(2月28日)

象徴的だったのは2023年の西武池袋本店だ。かつてはセゾングループの旗艦店として文化発信の場だったが、親会社セブン&アイが百貨店事業から撤退。建物は今もあるが、名前も運営も変わっています。

名鉄の跡地は「2040年代」を待つ

名鉄百貨店の閉店後、名古屋鉄道が主導する大規模再開発が始まる。2040年代前半の完成を目指す計画で、名古屋駅前の景色はこれから14年以上かけて変わっていきます。

なお、名鉄百貨店のシンボルとして長年親しまれてきたナナちゃん人形は現役続行。再開発期間中も現在地にとどまる予定で、変わりゆく名古屋駅前を見守り続けることになります。

生き残る百貨店が向かう先

閉店ラッシュの一方で、生き残っている百貨店は業態を変えつつある。伊勢丹新宿や髙島屋は富裕層向けのラグジュアリー路線に特化し、ブランド品・コスメ・デパ地下に力を入れる。松坂屋・大丸はインバウンド需要を積極的に取り込む。

「誰でも入りやすい店」として350年前に始まった三井越後屋の精神は、今や形を変えて生き残りを模索しています。名鉄百貨店の閉店は、そんな業態転換の大きな流れの中で起きた、ひとつの節目です。

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