チャットプラットフォームDiscordが2026年3月上旬に予定していたグローバル年齢確認(Age Assurance)の導入を、2026年後半以降に延期すると2月24日(現地時間)に発表しました。発表からわずか2週間での撤回の背景には、確認ベンダーをめぐる深刻なプライバシー問題がありました。
そもそも何を発表していたか
Discordは2026年2月9日、未成年者保護を目的とした「グローバル年齢保証」プランを発表しました。内容は、全ユーザーをいったん「13〜17歳の未成年扱い」にリセットし、成人と証明できないユーザーはセンシティブなコンテンツや年齢制限チャンネルへのアクセスを制限するというものです。
成人確認の方法として「顔の年齢推定(自撮り動画)」「政府発行の身分証アップロード」「アカウント利用データに基づく自動判定」の3つを用意していました。3月上旬にグローバル展開を開始する予定で、年齢確認ベンダーとしてPersona社を起用していました。
Personaをめぐる問題が一気に噴出
炎上の引き金になったのは、Personaへの不信感です。このPersonaという企業、実は「パランティア・テクノロジーズ」共同創業者であるPeter Thielが率いる「Founders Fund」の出資を受けています。監視技術との関係が疑われる投資家の名前が出てきたことで、ユーザーの不安が一気に高まりました。
さらに調査を進めると、PersonaのフロントエンドコードがAmazon(AWS)のサーバー上に公開状態で存在し、約2,500ファイルが確認されたことも判明。そのコードには「テロ・スパイ活動」を含む14カテゴリの「有害メディア」チェックや、顔認識によるウォッチリスト照合といった処理が含まれていました。さらに2025年10月には、このPersona経由で約7万人のID写真が流出していた過去も明らかになりました。
こうした事実が連鎖的に明らかになると、Discordからの離脱を示唆するユーザーが急増。代替サービスである「Stoat(旧Revolt)」の検索数は約9,900%増、「Matrix」は約2,100%増となりました。
DiscordのCTO「間違いを犯しました」と謝罪
2月24日、DiscordのCTOスタニスラフ・ヴィシュネフスキー氏は公式ブログで延期を発表し、「We’ve made mistakes(間違いを犯しました)」と明言しました。
延期の理由として同氏は「90%以上のユーザーは追加手続きなしで利用を続けられる予定だったが、その説明が不十分だった」と述べ、説明の失敗を認めました。今後の方針として以下を約束しています。
- Personaとの契約を終了(オンデバイス処理を行わないベンダーとは契約しない)
- 顔認識は必ずデバイス内で処理し、外部に生体データを送らない
- クレジットカードなど追加の確認手段を選択肢に追加
- 全ベンダー名とデータ処理方法をWebサイトで公開
年齢確認という課題は残り続ける
今回の延期はあくまで「やり直し」であり、未成年者保護のための年齢確認そのものが白紙に戻ったわけではありません。UK・オーストラリア・ブラジルなど法規制がある地域では引き続き確認が行われる予定で、日本も2026年後半以降に予定されるグローバル展開の対象に含まれます。
「身分証を提出してアカウントの利用を続けるか、Discordを離れるか」という選択を求められる日はまだ来そうです。今後の公式発表に注目してください。



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