「Umios(ウミオス)」——先週からこの社名を目にする機会が増えましたが、パッと読めた方はどのくらいいたでしょうか。マルハニチロが2026年3月1日に社名を変更したばかりの、まだ馴染みの薄い新名称です。145年の歴史を持つ老舗水産大手が、なぜ読みにくい名前にしたのか。そしてそれは、日本企業が今やっていることの一例にすぎません。
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- マルハニチロが2026年3月1日に「Umios(ウミオス)」へ社名変更。由来は「umi(海)+ one + solutions」の造語。
- カトキチ→テーブルマーク、松下電器→パナソニックなど、旧社名のほうが有名な社名変更は日本に多数ある。
- 「読めない英語・造語」への移行は近年のトレンドで、今後も変更予定の大手企業がある。
「Umios」——145年の老舗が読めない社名に変えた理由
マルハニチロといえば、缶詰やサバ・サンマなどの水産加工品で知られる大手企業です。その前身は1880年創業の老舗で、2007年にマルハグループ本社とニチロが合併してマルハニチロになりました。
「Umios」という新社名は3つの英単語の造語です。
- umi(海):創業以来のルーツ
- one:社会・地球との一体感
- solutions:食を通じた社会課題の解決
会社は今回の変更を「第三創業」と位置づけています。水産加工メーカーという枠を超え、「食×サステナビリティ」の企業に生まれ変わる意志の表れです。社長は「今変わらなければ我々に未来はない」と語っており、創業145年の節目に大きな賭けに出た形です。
実はあの商品も、会社名が変わっていた
「気づいたら会社名が変わっていた」という経験はありませんか。日本では馴染み深い旧社名が消え、知らぬ間に別の名前になっているケースが数多くあります。
カトキチ → テーブルマーク(2010年)
冷凍うどんの「カトキチ」といえば一世を風靡したブランドですが、現在の会社名は「テーブルマーク」です。JT(日本たばこ産業)が加ト吉を買収し、ブランドも段階的に変更。今もスーパーで「テーブルマーク」の冷凍うどんとして売られています。
松下電器産業 → パナソニック(2008年)
「ナショナル」ブランドの家電で知られた松下電器が、パナソニックに社名を統一。「ナショナル」というブランドと「松下」という社名が同時に77年の歴史に幕を閉じました。変更コストは約300億円とも言われます。
東芝メモリ → キオクシア(2019年)
東芝の半導体部門が米Bain Capitalに売却され、「東芝」の名称を使えなくなったため独自ブランドへ移行。「キオクシア(Kioxia)」は「記憶(Kioku)」とギリシャ語「価値(axia)」を組み合わせた造語です。今や世界有数の半導体メーカーですが、知名度は旧社名に及ばないままです。
富士重工業 → SUBARU(2017年)
スバルの自動車メーカーとして知られていたものの、法人名は長らく「富士重工業」でした。「スバルって会社名じゃないの?」と思っていた方も多いはず。創業100周年を機に、消費者への認知と一致した社名に統一されました。
日立造船 → カナデビア(2024年)
「造船会社なの?」と思われがちですが、実はすでに2002年に造船事業から撤退済み。日立グループからも離脱しており、社名だけが実態とかけ離れた状態が長年続いていました。新社名「カナデビア」は「奏でる(kanader)」+ラテン語「道(Via)」の組み合わせです。
山梨シルクセンター → サンリオ(1973年)
ハローキティで知られるサンリオの前身は、絹製品を扱う会社でした。スペイン語の「San Rio(聖なる河)」から社名を取り、キャラクターグッズ企業へと転換しました。
日本足袋 → ブリヂストン(1931年)
タイヤメーカーのブリヂストン、元は足袋(たび)の会社でした。創業者「石橋正二郎」の名前を英訳して入れ替えると「Bridge(橋)+Stone(石)」になります。足袋からタイヤへの転換とともに、名前にも遊び心が込められました。
スタートトゥデイ → ZOZO(2018年)
ZOZOTOWNの運営会社の社名は「スタートトゥデイ」でした。しかし調査では「ZOZOTOWNの認知度93%・スタートトゥデイの認知度19%」という結果が出ており、サービス名に合わせて社名を変更。
なぜ今、社名が「読めない英語・造語」になるのか
Umios・キオクシア・カナデビア・ニデック——近年の社名変更に共通するのは、「日本語を捨てて英語・造語に移行する」という傾向です。背景には3つの理由があります。
ひとつはグローバル展開です。日本語社名は海外で発音しにくく、ブランドとして機能しにくい。海外市場を重視するほど、英語ベースの社名が有利になります。
ふたつめは事業転換の意思表示です。「日立造船」が造船をやめているのに社名が「日立造船」では説明に困る。社名変更は「もう古い事業のイメージで見ないでほしい」という宣言でもあります。
みっつめは競合との差別化です。業種を連想させない社名は、事業領域を柔軟に広げやすい。「ウミオス」は水産会社というより、テック系スタートアップのように聞こえます。
これから変わる予定の企業も
この流れは続きます。ゲオホールディングスは2026年10月をめどに「セカンドリテイリング」への社名変更を予定しています。理由は「ゲオよりセカンドストリート(セカスト)のほうが有名になったから」。中古品のリユース事業がメインになった現状に合わせた判断です。
「あの会社、いつの間に名前変わってたの」という体験は、これからも繰り返されそうです。
関連リンク
- Umios(旧マルハニチロ)社名変更について:https://www.umios.com/jp/corporate/news_center/news_topics/2025/03/24.html


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