芥川賞スピーチ「この世界の居心地の悪さについて」――畠山丑雄の言葉が静かに話題に

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2026年2月20日、第174回芥川賞の贈呈式が東京都内で行われました。ダブル受賞となった芥川賞のうち、畠山丑雄さん(受賞作:『叫び』)が贈呈式後にnoteで公開したスピーチ全文「この世界の居心地の悪さについて」が静かな反響を呼んでいます。

第174回芥川賞・直木賞 受賞者一覧

今回の選考(2026年1月14日発表)の結果は以下の通りです。

  • 芥川賞:鳥山まこと『時の家』(「群像」2025年8月号)、畠山丑雄『叫び』(新潮社)
  • 直木賞:嶋津輝『カフェーの帰り道』(東京創元社)

芥川賞のダブル受賞は珍しく、文芸界では「それだけ強い作品が2作あった」と話題になりました。

畠山丑雄「この世界の居心地の悪さについて」

畠山さんは贈呈式でのスピーチをnoteで全文公開しました。タイトルは「この世界の居心地の悪さについて」。受賞の喜びを述べながらも、哲学的なテーマに踏み込んだ内容です。

スピーチの核心は「居心地の悪さ」という概念にあります。

「居心地の悪さというのは、ごく簡単に言えば、自分がいるべき場所にいない、ということだ」

畠山さんは大分・鉄輪温泉での体験を引用して語ります。「大浴場で一人湯に浸かっていると『もうどこへも行く必要がない』と思う。しかしのぼせるから去らなければならない。自分のいるべき場所は刻々と移ろっていく」。そこから「人は移動を宿命づけられている」という結論へと展開します。

受賞作『叫び』について、畠山さんはこう語りました。

「この世界のすべての移動の間に合わなかった人々に捧げたい」

受賞作『叫び』とは何か

『叫び』は、1940年の紀元2600年記念万博と罌粟栽培・満州を題材に、戦後日本の歴史的問題を問い直す大作です。「『戦後日本』を問う圧巻の現代小説の誕生」と評された作品は、大阪・千里丘を舞台に「政と聖」をめぐる大きな物語を描きます。

畠山さんは京都大学在学中の2015年に文藝賞でデビュー。2024年には「改元」で三島由紀夫賞の候補にもなっています。

40代から通い始め直木賞――嶋津輝さんの話題も

今回の直木賞・嶋津輝さんも注目を集めました。56歳での受賞は比較的遅咲きですが、それ以上に「40代から小説講座に通い始めた」という経歴が話題に。「今が青春」という言葉が受け止められ、「年齢に関係なく好きなことを始めていい」という空気を作りました。

鳥山まことさんは一級建築士と二足のわらじ

もう一方の芥川賞受賞者・鳥山まことさんは、現役の一級建築士として働きながら執筆を続けています。建築専門用語を駆使した受賞作『時の家』は、取り壊し予定の一軒家を舞台に3世代の住人の感情と記憶を描いた作品です。「建築関係者がこれほどの文学を書く例はない」と文芸・建築両界から注目されています。

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