ロンドン100%、東京たった8%──「無電柱化」320km計画にSNSで賛否、コスト5.3億円/kmと人手不足の壁

コラム
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東京都が2030年度までに都道320kmで無電柱化に着手する計画が話題になっています。さらに2026年2月には、日本初となる「電柱新設禁止」条例案を都議会に提出。小池百合子知事の意欲的な姿勢が注目される一方、SNSでは「本当にできるのか」と疑問の声も上がっています。

きっかけの一つが、X(旧Twitter)で89万表示を超えた投稿です。「都市計画のお知らせ」アカウントが320km計画を紹介したポストに対し、@kidasarada(白いカラスの男)さんが「将来のメンテナンスの土木リソース考えたら、ヤバいやつなのでは」と引用し、大きな議論に発展しました。

そもそも「無電柱化」とは──海外との圧倒的な差

無電柱化とは、電線を地中に埋設して電柱をなくすことです。景観の向上、防災、歩行空間の確保などが主な目的ですが、日本の現状は先進国の中で際立って遅れています。

都市 無電柱化率
ロンドン 100%
パリ 100%
香港 100%
シンガポール 93%
ニューヨーク 85%
ソウル 46%
東京23区 約8%
大阪市 約6%

ロンドンは19世紀の電気法で架空線の設置を原則禁止しており、歴史的に「電柱が存在しない街」を作ってきました。一方、日本では高度経済成長期に電柱を急速に増やして電力網を整備した経緯があり、都道だけで約5万5千本、区市町村道を含めると約63万7千本もの電柱が立っています。

メリットは明らか──防災効果は「80倍」

無電柱化のメリットは数字が物語っています。

  • 防災: 阪神・淡路大震災では、地中線の被災率は架空線の80分の1。台風による事故発生率も架空線は地中線の約50倍
  • 景観: 無電柱化された道路沿いの宅地価格は概ね7%上昇するという調査結果も
  • 歩行空間: 電柱撤去でバリアフリー化が進み、車いすやベビーカー利用者の安全性が向上

データだけ見れば「やらない理由がない」ように思えますが、問題はコストと実現性にあります。

1kmに5.3億円──電柱方式の10倍のコスト

国土交通省の調査によると、電線共同溝の整備費用は1kmあたり約5.3億円。電柱方式の約10倍にあたります。完了までの工期も約7年と長く、320kmすべてに着手するだけでも膨大な予算と時間が必要です。

さらにSNSで多くの人が懸念しているのが、建設業の人手不足です。建設業就業者の約3分の1が55歳以上で、29歳以下の若年層は過去20年で88万人から56万人に減少。2030年には就業者数400万人を割り込む可能性も指摘されています。

「やるべきだが、やれる人がいない」──これが無電柱化の最大のジレンマです。

SNSで割れる賛否──「水道管も地上に出すのか」

89万表示を超えたポストのリプライ欄では、賛否両論が入り乱れています。

賛成・楽観派:

  • 「その分雇用が生まれて経済が回る。定期的に床を掘り返すことで路面が綺麗に保たれる側面もある」
  • 災害時に電柱が倒れて救急車両が通行できなくなるよりは、復旧に時間がかかるほうがマシ」
  • 「京都なんか昭和から無電柱化してるよ」
  • 「東京は金が有り余ってるから問題ない」

懐疑・反対派:

  • ガス管や水道管もメンテナンスの為に地上に出そう!
  • 「ドイツが無電柱化先進国ともてはやされてたが、実態はラストワンマイルが追いつかずDSL網を使ってる有様だった」
  • 上下水道管の整備を先にしたほうがいいのでは」
  • 「そんな金があるなら水道管補修してくれ」

特に「共同溝ならメンテナンスリソースを減らせる」「人が入れる共同溝ならばメリットがある」という建設的な指摘も見られ、単なる賛成・反対ではない、地に足のついた議論が展開されています。

日本初「電柱新設禁止」条例案──変わるか東京の景観

東京都は2026年2月、新たに宅地を整備する際の電柱新設を原則禁止する日本初の条例案を都議会に提出しました。小池知事は「条例を設ける部分と、国にお願いする部分も含め、無電柱化をさらに促していきたい」と語っています。

320kmの計画、5.3億円/kmのコスト、人手不足という三重の壁──それでも東京都は「電柱のない街」に向けて一歩を踏み出しました。ロンドンやパリに追いつく日は来るのか、今後の都議会の審議と実行力に注目が集まります。

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